師匠 勇退
私が所属する有機栽培グループ「あふあふ倶楽部」の重鎮2名が稲作の第一線を退く事になりました。
20年以上有機栽培に取り組み、日夜格闘し続けてきたご両名。
今までの苦労は計り知れなかったと思います。
農薬全盛期の時代に「農薬を使わない」決断をするというのは並大抵の事ではありません。
それは、草との戦いだけではなく、経費の問題や近隣との関係までも含め、体力的・精神的に並外れたものがないと到底叶うことではありません。
世の中何かがおかしいと思っても、採算や色々な問題が振りかぶってくると大抵の人は諦めてしまいます。ですがこの方達は、それをもろともせず「ブレない」生き方を貫き通しました。
稲作だけでなく、人生の生き方そのものを教えて頂いた方達でした。
私がこの会に最初に入ったとき「ここだ!!」という衝撃を覚えたことを今でも鮮明に覚えています。それは、砂浜の中からダイヤを見つけた様な感覚でした。当時私は山の中でひっそり草と格闘していましたが、まさか同じ方向を向いている方々がいるとは思いもよりませんでした。会合の後の帰り道、うれしくて号泣した事を思い出しました。
ですが、その会合も決して穏やかなものではありませんでした。有機栽培といっても作り方は千差万別で、時にはケンカにもなりながらお互いの意見をぶつけあっていました。しかし、その「魂のぶつかり合い」が非常に心地良かったのです。遠慮して言い合うことの少ない現代、こんなにも本音でぶつかり合う事が出来るのかと驚きました。ですがそれもお互いのことを深く信頼し合っているから出来る事だと思います。
魂がぶつかり合って出る火花のようなものが、私を心地良く、時には激しく照らして、それが私の魂のさらなる情熱にもつながってきたことは、まさに意を「伝える」本質なのではないかと思います。
多くの事柄を教え、伝えて頂いたご両名に大変感謝致します。
そしてこれからも末永くご健在であってください。